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課題文の扱い方 

 小論文の出題形式によくあるパターンとして、課題文を読ませて意見を書かせるというものがあります。今回は、このタイプの問題を例にとって書き方を考えてみましょう。要点だけを頭に入れていただくために、課題文、答案ともに短くまとめてあります。


問題 次の文章を読んであなたが考えたことを述べなさい。

【課題文】
 最近の若者言葉の乱れはひどい。「らぬき言葉」などは言うには及ばず、「ムカつく」「キショイ」のような上品とは言えない言葉や、「ゲットする」のような英語とまぜこぜにした言葉、はては「KY」のようにほとんど暗号化したような言葉まで乱れ飛んでいる。
 日本語は1000年以上の歴史を持つ短歌や、十七音で森羅万象を表現する俳句など世界に誇る芸術を生み出してきた文化遺産である。この優れた遺産を現代の私たちが大きく乱してしまうとしたらそれはとても大きな損失である。私たちは、日本語という遺産を受け継いだものとして次の世代に正しく引き継いでいく責任があると思う。


答案

 確かに最近の言葉の乱れはひどいと思う。かく言う私も普段学校で友人と「ムカつく」「キショイ」といった言葉を使っている。仲間内だけで使うから構わないと思いがちだが、先日アルバイト先のマネージャーに思わず「マジですか」と言ってしまい、叱られたことがある。こういう言葉遣いは、目上の人の前だけ取り繕ってもダメで、普段の使い方がすぐに出てしまうものだ。
 学校の授業で源氏物語や枕草子を読んだとき、その表現の巧みさや人物造形のすばらしさに強く心打たれた。こうした優れた文学作品が生み出されたのは美しい日本語表現が守られてきたからこそで、これを大切に次世代に受け継いでいくべきだ。そのためには私自身が普段の生活から言葉の使い方を考えていきたい。




この答案は何が問題か?

 この答案は課題文の受け売りにとどまっています。課題文に書かれてあることを別の言葉で焼き直しただけで、答案を書いた人のオリジナルな意見が見えません。

 そもそも論文は何のために書くのでしょう?論文とは今まで世の中になかった新しい理論や考え方を世の中に発表するためのものです。STAP細胞の論文が発表されたとき大きな話題になったのも、それが今までにない新しい細胞の発見だとされたからです(後に否定されましたが…)。論文のそもそも目的からして自分なりの独自の切り口や新しい着眼点が不可欠です。まして大学教授は論文を書くプロです。ですから「この受験生はこんな面白い発想を持っている」「こんな新しい論点を提示しているな」という点を評価するはずです。もちろん変に奇をてらう必要はないですが、論文には「自分なりの何か」が絶対に必要です。ところがこの答案を見てみると、書いてあることはほぼ課題文の焼き直しであり「自分なりの何か」がほとんどないことがわかると思います。では次のような答案はどうでしょうか。

 

 筆者は、若者言葉は暗号と化している、という。しかし言葉は人間が使うものである以上、変化はつきものである。例えば平安時代の人から見れば現代の日本語は乱れているどころではなく、意思疎通ができないくらい言葉の意味や使い方が変わってしまっている。そこまでさかのぼらなくても明治時代の文豪の小説を読めば、かなりの違いがあることがわかる。
 若者が使う言葉には品の良くないものがあることも確かだが、そうしたものは定着せず淘汰されていくのではないか。そして本当に定着したものは乱れではなく言葉の変化となる。自分が慣れ親しんできた言葉が失われていくのを見て、苛立ちや焦りを覚えるのはわかる。しかし、受け継ぐべき日本語には「言葉の変化」も含まれているはずである。

 

 この答案の場合は、課題文の意見を参考にしながら全く違う角度から言葉の乱れについて論じています。課題文の「言葉を守るべき」という意見に対して「変化も含めて受け継ぐべき」という考えを提示しています。課題文に飲み込まれることなく論文に不可欠な独自の切り口や新しい着眼点が提示できています。初めの答案より大幅に評価が高いといえます。もちろん課題文に賛成する立場から書いても良いわけですが、その場合も筆者が指摘していない別の角度から、言葉を守ることの重要性を指摘するとか、やはり自分なりの視点や着眼点が不可欠です。課題文付きの小論文の場合はこの点をぜひ意識して書いていただきたいと思います。



講座1・まずやるべきこと

講座2・バランスを考える

講座3・具体的に書く

講座4・課題文の扱い方

講座5・普段の勉強法